「苦くて目が覚める」だけじゃない。香りを楽しむだけじゃない。アメリカのZ世代は、コーヒーを自己表現のツールとして、新たな価値を創造しているらしい。その創造性は、もはや「革命」と呼ぶにふさわしいほどに……。
個性大爆発!
コーヒー界の「#〇〇フラペチーノ」
米ビジネス誌「Fast Company」によると、Z世代のコーヒーラバーの約85%がクリーマーを使用しているという。この数字が示すのは、彼らが「苦味」よりも「甘さ」や「見た目」を重視する傾向があると記事は分析する。
SNS上では、「#〇〇フラペチーノ」のようなハッシュタグが飛び交い、個性的なアレンジレシピが日々生まれているらしい。もはやコーヒーは、味だけでなく、視覚的なエンターテインメントとしての役割も担っているのかもしれない。
マニュアル至上主義、崩壊?
「4つのC」が生む、無限の可能性
コーヒー業界は現在、「第四の波」とも呼ばれる新たな時代を迎えている。そのキーワードは、Cold(冷たい)、Convenient(便利な)、Craft(手作り感)、そしてCustomizable(カスタマイズ可能)の「4つのC」だ。
なかでも注目すべきは、Customizable。従来のコーヒーは、豆の種類や焙煎方法、淹れ方など、マニュアル化された要素が重視されてきた。しかし、Z世代は、既存の枠にとらわれず、自分だけのオリジナルレシピを追求する。
実際、コーヒーとクリーマーの組み合わせは、ピーナッツバターとジェリー、ミルクとシリアルの組み合わせ以上にアメリカ文化に根付いているらしい。市場調査会社「Circana」のデータによれば、コーヒーとクリーマーは60%の確率で一緒に購入されており、これはミルクとシリアルの40%、ピーナッツバターとジェリーの20%を上回っているそうだ。
こうした動きは、単なる味の追求にとどまらない。自分らしさを表現するため、コーヒーをカスタムする。そんな新しい価値観が生まれているようだ。
手抜きに見えて、じつは最先端
進化系インスタントコーヒーという賢い選択
「Fast Company」の記事で米ネスレの飲料部門社長Daniel Jhung氏は、「インスタントコーヒーは長らく世界中で人気がありましたが、近年アメリカでも急速に受付けられています」と述べている。
いち早くこのトレンドを捉えたネスレは、「タイ風アイスコーヒー」「ラベンダーラテ」といった斬新なフレーバーを投入し、若年層のコーヒー嗜好に反応して見せた。
手軽に楽しめるインスタントコーヒーは、忙しい現代人の強い味方。しかし、Z世代が求めるのは、単なる時短だけではない。彼らは、クオリティにも妥協しない。
最近では、スペシャルティコーヒー専門店が監修したインスタントコーヒーや、高品質なフリーズドライ製法で作られたインスタントコーヒーも登場している。Z世代は、手軽さとクオリティを両立させた、賢い選択をしているのではないだろうか。
コーヒーは「ライフスタイル」そのもの
Z世代にとって、コーヒーは単なるカフェイン摂取の手段ではない。それは、ライフスタイルを表現するツールであり、日々の生活を彩るパートナーでもある。
仕事や勉強のお供に、リラックスタイムを演出するアイテムとして、そして友人との語らいのコミュニケーションツールとして……。コーヒーは、さまざまなシーンで彼らの生活に寄り添っている。自分にとって最適なコーヒーの飲み方を見つけ、それを日々のルーティンに取り入れることで、生活の質を高めている。
忙しい朝でも、手軽に本格的な一杯を。Z世代が牽引するインスタントコーヒーのリバイバルは、合理性と品質へのこだわりが両立する、現代的な価値観の象徴なのかもしれない。